「しまうまシリーズ」について
2014年までに出版された全4册は、しまうまを主人公にした読み切りのお話。どの作品から読み始めても、楽しむことができます。シリーズで読むと、それぞれのお話に登場したエピソードの関連性がわかるので、しまうまシリーズ全体を通じて描かれている「個性を大切にして、仲間と共に仲良く成長していく」というテーマをより深く理解できると思います。
『どうぶつがっこう』とは
「どうぶつがっこう」は、動物が先生で人間の子供たちが生徒の学校。その中で、しまうまの子供だけが人間ではありません。学校では動物の先生たちが、「感覚」を使って文字や言葉を学ぶ方法や、「経験」から自分の個性や才能を知る方法、仲間と仲良くする柔軟な考え方など、「動物ならではの習性」を通じて、人間の子供達に生きていく上で大切なことを教えていきます。この学校で、人間の子供と、外見も種類も違う生き物のしまうまの子供は、互いに違いを尊重し、仲良くしていくことも学びます。
個性を伸ばす学習や、いじめをなくす「他人を思いやる気持ち」をどうやって育てるか。この本は、本来学校で学ぶべき根本的なことについて、提案したお話。親御さんや学校の先生たちにも一緒に読んでいただきたい本です。
「どうぶつがっこう」で学べること
どうぶつがっこうは「自分」を「けんきゅう」するがっこうです。生徒たちは、自分の「かんさつ」からはじめて、時には課題克服のために「しゅくだい」をしたり、失敗を怖がらずに「じっけん」したりすることで、新しい自分を「はっけん」していきます。
「かんさつ」で「感じる力」を高める
世の中にだれひとり同じひとはいません。「自分を知る」ってむずかしいことだけど、自分らしく生きていく上で大切なこと。でもどうすればいいのかな?どうぶつの先生たちが、その方法を教えてくれます。
「かんさつ」することで、「感じる力」をきたえるのはとても大事です。動物のように感じる力は、まわりで起こっていることを理解したり、相手がどのように感じているか、状況判断にも必要です。何かを新しく学習する時にも「感じる力」は役にたちますね。
どうぶつの先生たちは、体の感覚を通じてまず「目に見えることを観察すること」そして「自分の内面を観察すること」を教えます。感覚を通じて考える力を「体得」するのです。
「感じる力(感受性)」を高めることは、本当の意味での知性を育てます
例えば、どうして“いじめ”はなくならないのかな? 自分がもし叩かれたら痛くない? 仲間はずれにされたら、心も痛いよね? 叩いた人、やった人は、わからないのかな?
他人の痛みがわかるには、自分の痛みがわかるかどうかが、理解につながるのではないでしょうか。人間の世界の先生たちはよく「自分がされていやなことを、他の人にするのはやめなさい」と言って諭します。けれども、頭で考えただけではわかりません。どうぶつがっこうの先生は、自分の「からだ」と「こころ」で感じることを学ばせるのです。
得意なこと、苦手なこと、いろんな体験を通じて自分の特徴を発見していくことは、個性を伸ばすきっかけにもなります。将来的には、その個性が仕事につながることもあるでしょう。(『しまうまのしごとさがし』参照)
『どうぶつがっこう』のお話の中では、しまうまくんも、学校という新しい社会環境に入って、人間の子供たちと一緒に勉強したり、人間関係も学んでいきます。
自分の個性で仲間はずれにされそうになったり、失敗を怖がって、やりたくないことほど避けられずにやることになってしまう理不尽な気持ち。学校の集団生活で経験する、時にはほろ苦い現実の中で成長していくのです。